“音声からのナレッジ検索と生成AIによる
要約文生成で業務の効率化”
持田製薬株式会社様の事例
応対記録の負荷削減と、生産性向上を実現する生成AI活用
持田製薬株式会社(以下、持田製薬)のくすり相談窓口は、「医療関係者及び医療消費者からの問い合わせに迅速的確に対応するとともに、適正使用の推進に貢献する」ことをミッションとして掲げています。医療従事者や患者さんはもちろん、社内からの問い合わせも含め、同社が扱う全ての医療用医薬品に関する相談を一手に担う重要な部門です。
同社におけるTRAINAシリーズのご利用について、医薬開発本部 メディカルアフェアーズ部の皆さまにお話をお伺いしました。
「弊社の企業理念である『人類の健康・福祉に貢献する』という大前提のもと、くすり相談窓口として迅速かつ的確な対応を目指し、日々業務を行っています」。
一方で、TRAINA導入前は二つの大きな課題を抱えていました。一つは、ナレッジ検索の効率性です。「従来のシステムでは、検索効率に課題がありました」。欲しい情報にたどり着くまでに、「飲み合わせ」「飲合わせ」といった表記揺れを試しながら複数回の検索が必要になることもあり、オペレーターの負担になっていました。
二つ目の課題は、応対記録の作成、すなわちアフターコールワーク(ACW)の負荷です。「ACWの時間を短縮し、業務効率化を進めたいというのが第一の目的でした」とお話は続きます。 「オペレーターは電話受電だけをしているわけではなく、FAQの改定・メンテナンスといった他の業務も兼務しています。ACWの時間を削減し、それらの業務にリソースを割けるようにしたかったのです。また、将来的な問い合わせ数の増加にも、人を増やすことなく現状の人員で対応できる体制を整える必要がありました」
AIによる「検索」と「要約」が、業務効率化と応対品質を両立
これらの課題を解決するため、持田製薬は「TRAINA FAQナレッジ」と「TRAINA VOICEダイジェスト(音声認識・要約)」の導入を決定しました。
TRAINA FAQナレッジが選ばれた決め手は、検索精度の高さと操作性でした。「オペレーターだけでなく、MR(医薬情報担当者)も利用することを考慮し、操作性と検索精度をもっとも重視しました。TRAINA FAQのナレッジは、利用者が表記揺れなどを意識(登録)しなくてもAIが解釈して検索してくれる点が魅力でした。また、オペレーター用に音声認識と連携し、会話の吹き出しクリックで検索できる点もポイントでした」
ACWの負荷軽減に向けては、従来の「会話の抜き出し要約(機械学習)」に加え、新たに「生成AIによる要約」機能をハイブリッド型で利用することにしました。
「生成AIの要約は、従来の抜き出し型と比べてある程度、誤字脱字が修正される点が非常に使いやすいです。また、プロンプトで指示することで、長時間の通話でもポイントを絞り、要約文を一定量に統一できるのもメリットだと感じています」
ただし、製薬業界特有の「言った・言わない」の確認は欠かせません。AIが文脈を補完して「言っていないこと」を要約に含めてしまうリスクを回避するため、持田製薬では、敢えてAI要約と従来の抜き出し要約を両方表示させ、オペレーターが内容の忠実性を確認・選択できるように運用しています。
ACWの削減効果は経験の浅い層で顕著に。
GVP対応でも精度の向上を実感
TRAINA FAQナレッジの導入により、検索時間が短縮されました。「以前は2回、3回と検索し直していたものが1回で済むようになり、検索時間は確実に短縮しました」とご担当は効果を語ります。
ACWの削減については、具体的な数値は非公開ながら、導入前後で時間を計測し、短縮効果を確認しています。特に注目すべきは、その効果がオペレーターの経験値によって異なった点です。「もちろんベテランも短縮しましたが、業務経験の浅い人ほど、より顕著な時間短縮が見られました」
さらに、製薬企業のコールセンターとして極めて重要なGVP(Good Vigilance Practice:医薬品安全管理基準)の側面でも、効果が表れています。「くすり相談窓口では、副作用に関する情報を漏れなく収集することが求められます。TRAINAは会話内での副作用に関するキーワードと思われる発言を抽出してくれるため、安全管理情報の収集漏れの防止に寄与していると感じます」。
専門業務へリソースを集中できる体制へ。
品質向上を支える業務基盤に
専門性の高い医薬品の適正使用情報を扱う「くすり相談窓口」において、TRAINAの導入は単なる「検索時間の短縮」や「ACWの削減」以上の価値をもたらしています。AIによる検索精度の向上は、瞬時に必要な情報を見つけられるため、お客様をお待たせしないという応対品質の向上に直結しました。
さらに、ACW削減によって創出された時間は、オペレーターがFAQのメンテナンスといった、さらなる品質向上のための専門業務に注力することを可能にしています。
「以前は問い合わせ数が増えると、人を増やして対応していました。ACWを効率化することで、現状の人員でも問い合わせ数の増加に対応しつつ、他の業務にもリソースを割ける体制を目指しています」。
オペレーターの負担軽減と業務品質の向上を両立させ、専門性の高い業務を支える基盤として、TRAINAは持田製薬様のミッション遂行に貢献していきたいと思っています。

