“お客さまの声を社内で共有するために、
音声認識と要約文の自動生成を活用”

帝人ファーマ様の事例

帝人ファーマ株式会社において、医薬品に関する問合せへの応対業務を行っているメディカル情報グループ。
医療従事者や患者からの問合せに対応するだけでなく、外部の声を社内に展開する役割も担っているが、通話完了後の作業に課題があったという。そこで導入されたのが「TRAINA VOICEダイジェスト」だ。

問合せ内容と回答を記録してMRと共有

医薬品と在宅医療という2つの事業を持ち、そのシナジー効果によって独自の価値を生み出し続けているのが帝人ファーマ株式会社(以下、帝人ファーマ)です。同社はこのシナジー効果を「骨・関節」「呼吸器」「代謝・循環器」の3領域で発揮し、多くの患者のQOL(Quality of Life)の向上に貢献しています。

この帝人ファーマにおいて、医薬品の問合せを受け付けているのがメディカル情報グループです。医師や薬剤師、看護師、介護士、医薬品を服用している患者の方々からの問合せに対応しています。 問合せ内容は、薬の使い方に関するものが中心で、対応後には迅速にMR(Medical Representative:医薬情報担当者)と共有される体制が整えられています。

メディカル情報グループでは、問合せがあった医療機関を担当しているMRに対して『どういった問合せがあったのか、それに対してどのような回答を行ったのか』を記載して送信するといった形で情報を共有しています。さらに、製薬企業の義務として、副作用が生じたといった問合せがあった場合には、即座に安全性情報を担当する部門に情報を伝達することも重要な役割になっています。 このように問合せに応対するメディカル情報グループでは、単に質問に回答するだけでなく、その内容を記録して社内で共有することも重要な業務となっています。ただ、ここに課題があったのです。

応対記録の作成と保存で帝人ファーマが抱えていた課題

記録すべき内容が抜けているといったミスは大きなリスクになりかねないため、メディカル情報グループのメンバーには必要な情報を漏らさずに記載することが求められています。そのため、場合によっては音声を聞き直して確認する必要があり、そこに大きな手間が発生していました。

応対内容が適切であったかを確認できないことも問題でした。

FAQどおりに話せていれば基本的に問題はありませんが、実際はそれでもうまくいってなかったり、あるいはニュアンスが違っていたりすることもあります。対応した社員が作成した記録だけでは、こういったことが読み取れないのです。

応対内容が長期間保存できないことも課題でした。帝人ファーマでは、問合せ内容はすべて音声データとして記録していますが、データ量が膨大になってしまうため一定期間を過ぎると消去されます。その後は応対した社員が作成した記録だけが証跡となりますが、場合によっては過去の問合せ内容から経過を辿っていくといったことも必要になるため、より正確に記録を残すための手段が求められていました。

このような課題を解決するべく新たに帝人ファーマで導入されたのが、野村総合研究所の「TRAINA VOICEダイジェスト」でした。これは、コールセンターなどでのお客さまとの通話音声をリアルタイムにテキスト化した後、その内容を自動要約する仕組みを備えたソリューションです。製品選定のポイントとなったのは精度の高い要約文が作成される点でした。

高精度な音声認識と自動要約機能で記録の作成業務を効率化

「私たちから情報を受けるMR側は、問い合わせのニュアンスなど生に近い情報を求めている一方、全文だと長くて読みづらいという意見がありました。そのせめぎ合いの中でポイントとなったのが要約文であり、それが自動的に生成されることがTRAINA VOICEダイジェストの魅力でした」(ご担当)。

リアルタイムに音声認識した後、さらに要約文の作成まで自動化できるTRAINA VOICEダイジェストを利用すれば、MRなど社内の情報共有のための記録を作成する際の負担を大幅に軽減することが可能でしょう。リアルタイムに音声認識を行った結果も記録されるため、応対に不備がなかったかを後から確認できるほか、過去の経過を辿る際にも有効です。

また、音声認識の機能を備えたソリューションを導入する際、気になるのは音声認識の精度です。この点について、帝人ファーマはどのように評価したのでしょうか。「製薬業界は幅広い専門用語があるため、そこまで対応できるのかと不安はありました。実際に音声のやり取りをテキスト化するデモンストレーションを見せていただいたのですが、かなり高い認識率で音声がテキスト化されているのを見て、ここまでできるんだと驚きました」と当時を振り返り、コメントを頂きました。

「話している言葉がスピーディにテキスト化され、その後要約が作成されていく、あのデモンストレーションのインパクトは大きかったですね」と、導入前に十分な手応えを感じていたと話します。導入後においても、オペレーター側の話す内容は9割を超える認識率であり、落ち着いて応対している状況であれば、ほぼ正確にテキスト化できていると評価をいただきました。

抜け・漏れのない正確な記録を効率的に作成

実際に導入する際にポイントとなったのは、要約文の精度でした。当然、企業や業務によって求められる精度は異なり、それに合わせてチューニングを行うことが欠かせません。ただ、帝人ファーマではこれまでの業務で作成してきた記録をベースに要約文を作成できたため、スムーズに作業は進められました。

TRAINA VOICEダイジェストの導入効果として、評価いただいたのは通話内容を正確に記録できるようになった点でした。

「これまで記憶に頼って書いていた部分があり、どうしても抜けがあったり、あるいは言い回しが正確でなかったりといった問題がありました。しかし、TRAINA VOICEダイジェストを導入したことで記憶に頼らずに記録を残せるようになり、正確な内容を残すことができるようになったと感じています。」

「TRAINA VOICEダイジェストを導入したことで、正確な記録を残せるようになったことは私たちにとって大きな価値でした。」(ご担当)

なお、帝人ファーマでは、TRAINA VOICEダイジェストと同じタイミングで「FAQナレッジ」を導入、FAQシステムを刷新しています。導入前は検索する際に、送り仮名の違いなどでなかなかヒットしないという課題があったとのことですが、FAQナレッジを導入したことで検索精度の向上などが図られ利便性があがったと、こちらも大きな成果をもたらしているようです。

 現在、1カ月あたりの件数は1,800~2,000件に達します。1通話あたりの平均後処理時間は5分。驚くのは放棄呼を出さないように取り組みが進められている点で、実際に放棄呼ゼロの状態が維持されています。

 コールセンターに寄せられるお客さまの声を社内に共有するといった取り組みは多くの企業で進められていますが、そのための業務がオペレーターの負担となっているケースは少なくないでしょう。また、過去の応対内容を振り返りたいといった場合、音声データのままでは時間がかかりすぎるといった課題も多くのコールセンターに共通する悩みとなっています。こうした課題の解決に向けた取り組みを進める上で、この帝人ファーマの事例は参考になるのではないでしょうか。

会社名 :
帝人ファーマ(株)
発 足 :
2002年3月
資本金 :
100億(2019年2月末時点)
グループ従業員数 :
2,049人(2018年3月末時点)

※掲載時の会社情報です

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